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ラトル&ベルリン・フィル/マーラー:交響曲第10番(クック版)全曲

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マーラー
交響曲第10番(クック版)

指揮:サイモン・ラトル
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1999年9月24,25日(ライヴ)

マーラー絶筆の「失われた」最高傑作、ヨーロッパ芸術の一つの限界にあるかのようなこの作品は、作曲家自身が意識したダンテの神曲にも匹敵するほどの壮大な構想をもっています。それを、極限的な精緻さと雄大さで描いたラトルとベルリンフィルのこの録音からは、近代ヨーロッパの黄昏、などを遙かに超えた、殆ど空虚さと隣り合わせの、全く名状しがたい世界を幻想させてくれます。

1999年9月ベルリン・フィル(BPO)の次期芸術監督(2001年~)に指名されたラトルが、指名後はじめてBPOを振って大成功を収めた演奏会のライヴです。未来の手兵との御披露目にあたって十八番の演目を持ってくるあたり、演奏会と曲目は指名を受ける以前から決まっていたとはいえ、何とも幸先の良いスタートでありました。このクック版に対するラトルの思い入れは有名で、同版に大幅に手を入れて用いたザンデルリング盤を聴いてその可能性に開眼、自身も手を加え、EMIへの専属初録音にこの曲を選んでその存在を強くアピール、以後も再三この版を取り上げ、トレードマークとも言うべき得意演目に熟成させたことはよく知られるところです。BPOとは1996年にも演奏しており、双方まさに満を持しての録音と言え、オケの圧倒的な技量差もあって、旧録音をはるかにしのぐ切れ味鋭い見事な演奏を聴かせてくれます。

精緻且つ洗練されたアンサンブルのもと、抜群のリズム感と精妙な歌が満ち溢れています。この曲はラトルとBPOのためにあったと思わせる演奏です。このコンビでこそ成し得た完璧で透明なアンサンブル、濁ることのないフォルテ、静謐な境地。この曲が素晴らしい曲であることを実感できます。特にフィナーレの美しさは「あと1年、マーラーが生きていたら…」と思わずにはいられません。

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