ジローの絵2

¥123,456

(税込) 送料込み

商品の説明

けれど、賢いということは、ときに残酷なことでもある。 ジローが子犬を産んだとき、私は嬉しかった。 ところが祖父は、ジローと私が遊びに出かけている隙に、子犬たちを段ボール箱に入れ、川に流してしまった。 当時の農家では、犬が子犬を産んでも、すべてを飼えるわけではなかった。今とは違う時代だった。 祖父は、箱が流れていくのを確かめてから振り返った。 そこにジローがいた。 祖父を見上げていた。 その眼差しは、恨みでも憎しみでもなく、氷のようだった。 その話を祖父が私にしてくれたのは、私が中学生になった頃だったと思う。 自分の子どもが川に流されていく。 しかも、それをしたのは、いつも仕えている家の主人なのだ。 ジローは何を思ったのだろう。 祖父は、胸が締め付けられるほど申し訳なかったと話してくれた。 そして、ある朝、ジローがいなくなった。 あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。 朝起きると、家族の様子がおかしい。みんな、私によそよそしかった。 「ジローは?」 父は、ジローは死んだのだと教えてくれた。そして、埋葬した場所へ連れて行ってくれた。 あっけない別れだった。 大人になってから、私は本当のことを知らされた。 ジローは人に噛みついたため、安楽死させられたのだという。 誰に噛みついたのか、詳しいことは知らない。 けれど、私は今でも思っている。 ジローが噛みついたのだから、きっと泥棒か押し売りに違いない。 あれほど賢く、あれほど忠実で、あれほど家族を守ろうとした犬なのだ。 何も理由がなかったはずはない。 もちろん、本当のところは分からない。 ただ、ジローがいなくなった朝、家族が私に隠そうとしたものが何だったのか。 今でも、それは謎のままだし、大人になった今でも触れてはいけない気がして母親にも聞いていない。 サツマイモを掘りながら、私はジローを思い出した。 祖母の畑を守り、山菜の袋を運び、幼い私の遊び相手になってくれた犬。 あの氷のような眼差しを、祖父は生涯忘れなかったのだろう。 そして私も、もう会うことのできないジローのことを、こうして思い出している。 ジロー、お前は本当に賢い犬だったね。

12日前

商品の情報

商品の状態

未使用に近い

数回使用し、あまり使用感がない

配送料の負担

送料込み(出品者負担)

配送の方法

らくらくメルカリ便
匿名配送

発送元の地域

大分県

発送までの日数

2~3日で発送

コメント (6)

うさかめの画像

でも食欲が➖😅 全部兄さん様のせいです

5日前

うさかめの画像

ここ数日思い出しては、胸が痛くて🥹

5日前

兄さんの画像

泣き止んだ?

5日前

この商品を見ている人におすすめ